新着 野辺正二 10弦 1986年製 No.50
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ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表面板/セラック 横・裏板/カシュ―
糸巻き:シャーラー
弦 高:1弦 3.0mm/10弦 4.0mm
〔製作家情報〕
1935年生まれ。東京の指物職人であった父野辺幾衛がその技術を生かしギターの修理をする事から野辺ギター工房は始まります。1965年に独立し自身の工房をスタート。江戸指物師の流れを汲む家系らしく良質な木材の選定と高い工作技術、意匠のセンスと味わい深い外観の仕上がりなどが特徴です。音色もそのたたずまい同様に渋く滋味深いもので、スペインギターを基本としながらも華やかさとは一線を画した、まさにいぶし銀のような味わいを持ったものとして他にはない個性を持っています。
同様にギターを製作した野辺邦治は兄にあたります。生涯現役で良質なギターを製作し続けましたが、2004年に死去。現在は息子の野辺雅史氏が父の工房を引継ぎ、彼の残した工具やストック材を使用してブランドを存続しています。またもう一人の息子野辺成一氏も独立して自身の工房を立ち上げ、クラシックギター製作のほか古楽器の修理やアンティーク家具の販売をおこなうショップを経営しています。
〔楽器情報〕
野辺正二 No.50 10弦 1986年製 Usedの入荷です。通常ギターで見せるしっかりとしたクオリティをそのまま10弦仕様に落とし込んだような、野辺氏らしい安定感のある10弦に仕上がっています。
飴色の深い滋味をたたえた外観はまさしくこのブランドならではですが、音色においては野辺氏としてはむしろブリリアント。多弦ギターにありがちな過度に低音寄りの重心感覚やこもりがちな響きではなく、卓越した職人ならではのバランス感で全体が設定されており、多弦ならではの遠近感と迫力、と同時にクリアな音響が達成されています。
内部構造はサウンドホール上側に2本、下側に1本のハーモニックバー、左右対称9本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止める2本のクロージングバー(通常これは高音側低音側で1本ずつを配置して左右対称にハの字型になるように設置するのですが、ここでは低音側のほうを長くして「ヘ」の字型の配置となっています、これは野辺氏が通常6弦のギターでも採用している方式)。レゾナンスはG~G#に設定されています。
表面板サウンドホールまわりやブリッジ下の部分などはやや弾き傷等多く見られます。裏板はおそらく乾燥などによる割れの補修痕が一か所ありますが、とても丁寧な処置がされており状態と外観ともに問題ありません。ネックは年月を経た多弦ギターとしては珍しくほぼ真直ぐを維持しています。フレットは1~5Fでやや摩耗見られ、指板は1~3Fでほんの若干の減りがありますがいずれも演奏性には全く問題ないレベルです。糸巻はシャーラ―製、プレートをカットして高音側低音側それそれ3+2で設置しています。
国産手工品での10弦ギターお探しの方には円満におすすめできるUsedです。
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