新着 田邊 雅啓 2023年製 ロマニリョスモデル
田邊 雅啓 2023年製 ロマニリョスモデルが入荷しました。
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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm
〔製作家情報〕
1974年群馬県生まれ。20歳の時にクラシックギターの製作を志し、法政大学卒業と同時に石井栄氏に製作を師事、同工房にて自作品として140本近くを製作。その後2001年に渡欧し、各地の弦楽器工房を訪問し実地に見識を深めてゆくなかで、スペイン、シグエンサでのホセ・ルイス・ロマニリョス製作講習会に参加したこが決定的な体験となり、スペイン伝統工法によるギター製作に自らの方向性を確信することになります。
帰国後に栃木県足利市に独立して工房を構え、さらに一年間の製作研究を経て2002年10月に彼のメインモデルの一つとなるロマニリョスモデルを発表。並々ならぬ探求心と柔軟かつ新鮮な感性を常に保ち続け、それを十全に活かしたまさに結晶と言える彼のギターは、その造作と音響的な完成度の高さで国内の若手製作家のなかでも比肩するもののないアイテムとなっています。現在年間5~6本のペースで製作。2018年にはNHKの人気番組で工房での製作風景が放映された他、2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。
オルフェオマガジン「日本の製作家」特集掲載号 オンラインショップ商品ページはこちら
〔楽器情報〕
田邊雅啓製作のハウザーモデル 2007年 No.194‘la cigarra’Used良品が入荷致しました。
2002年に本格的にディストリビューションを開始した彼にとってわずか5年目での作ですが、ハウザー/スパニッシュギターとしてのあるべき着地点がしっかりと見極められており、実に素敵な一本に仕上がっています。
いかにもハウザーらしい、心地よい粘りをともなったくっきりとした発音で、ボディがよく鳴っており、ハウザー1世のスパニッシュ的なニュアンスがよく出ています。経年の弾き込みにより角の取れたまろやかな音像で、響きには自然な奥行きが生まれており、音色には温かみを感じさせます。しかしながらハウザー独特の音響指向性や、決して甘くなり過ぎないストイックな表情などもしっかりと備わっており、いつもながら田邊氏のオリジナルに肉薄してゆくようなアプローチが当機においても際立っています。
内部構造はサウンドホール上側に2本、下側に1本のハーモニックバー、左右対称の7本の扇状配置力木に、その7本の先端をボトム部で受け止めるように配置された2本のクロージングバー、駒板の位置にはちょうど同じ大きさのパッチ板が貼られているという全体の配置。これはオリジナルにもちろん準拠していますが、田邊氏はここでホセ・ルイス・ロマニリョスのPlan1(彼の著作「Making a Spanish Guitar」の中で設計図が掲載されている)を参照し、1931年製ハウザーを基にしたロマニリョスPlan1モデルを再度ハウザーに落とし込むという入念極まりない作業をしています。レゾナンスはG~G#に設定されています。
全体は繊細なセラックニス仕上げ。程よく飴色に変化したの外観はヴィンテージギターのような深い味わいを醸し出しており、シンプルな外観ながらも細部まで行き届いた精緻な造作や、渋くそして洒脱なロゼッタも絶妙なアクセントになり、落ち着いた上品さをまとっています。割れ等の大きな修理履歴はなく、表面板サウンドホール周りとブリッジ下位置に若干の弾き傷があるほかは良好な状態。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分も問題ございません。ネックシェイプはフラットなDシェイプに加工されコンパクトなグリップ感となっており、640mm仕様であることと併せ左手の演奏性が楽に感じます。弦高値は標準設定となっていますが、サドルには調整余地(2.0mmほど)ありますのでお好みに合わせて低く設定することも可能です。
‘la cigarra’は「蝉」の意で、ちょうど完成時期が初夏の頃で製作家にインスピレーションを与えたのだそう。よく鳴る(鳴く)ようにという作者のユーモアも込められたモデル名。
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