レスター・デヴォー 2009年製 Flamenco Negra

レスター・デヴォー 2009年製 Flamenco Negra

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.3mm/6弦 3.0mm

[製作家情報]
レスター・デヴォー Lester DeVoe 1951年アメリカ、ヴァージニア州生まれ。現在はカリフォルニアで工房を構える、現代フラメンコギターの最重要製作家の一人です。もともと演奏家を志していましたが、当時師事していたギター教師が弾くスペインの名工サントス・エルナンデス(1874~1943)の1924年製ギターの響きに魅せられ、自らのためにギターを製作しようと始めたのがきっかけでした。彼の製作美学はそのサントスのギターを土台として、それを彼なりの方法で現代化するというもので、それはアメリカの製作家らしく機能性とバランス、音色において高度に洗練されたものとなり、クロスオーバー化してゆくフラメンコ音楽のニーズにもぴったりフィットしてゆくものでした。ジプシーのむせかえるような情感とジャズ的抽象の音響空間とを同時に表現しうる楽器として、サビーカス、パコ・デ・ルシア、ビセンテ・アミーゴらの名手たちをはじめ多くのギタリストに愛されるようになります。1975年より自身のブランドを立ち上げ、現在はフラメンコモデルのほかクラシックモデルも製作しています。

[楽器情報]
レスター・デヴォー製作 2009年製 フラメンコネグラ(黒)松/インディアンローズウッド仕様 Usedの入荷です。このブランドらしい(ある種アメリカ的な)爽やかとさえ言える明朗さ、極めて高い機能性、そしてフラメンコに必要なニュアンスを十全に備えた魅力的な1本。

表面板内部構造はスパニッシュスタイルを踏襲しており、サウンドホール上側(ネック側)に一本のハーモニックバーと1枚の補強板、サウンドホール下側には1本のハーモニックバーとその中央部分(つまりサウンドホールのちょうど真下の位置)から高音側横板に向かって斜めに下がってゆくように設置されたトレブルバー、ボディ下部は7本の扇状力木にそれらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には薄い補強板が貼られているという全体の構造。レゾナンスはF#~Gの間に設定されています。

しっかりした重心感覚の低音から高音に至るまで全てが整った音像で、完璧ともいえるバランスで全体の音響設計がされていますが、しかし決して平板に陥ることのない表情の動き、またダイナミックな身振りにおいて目が覚めるようなレスポンスを聴かせます。インディアン・ローズウッドゆえの特性か音像は丸みがありソフトな感触で、これが耳に心地よい。さらに特筆すべきはタッチに対するリニアニティの非常な高さで、撥弦よりも先に音が発されるような感覚があり、弾いていると自然にドライブ感が生まれます。フラメンコ的な身振り(旋律のうねり、跳躍と終止の明確さ、音量のダイナミズム、マッシブなアタック感など)における機能性も実に素晴らしく、プロフェッショナルの高い要求にも十全に対応する一本です。

表面板ゴルペ板の下、1弦に近い箇所に数センチの割れ補修歴があります。ゴルペ板の上からですと殆ど割れが認識できませんが、ボディ内側よりパッチ補強が施されています。全体に細かな弾き傷や摩擦跡あと等ありますが軽微なもので、ネック裏は高音側5~7フレット付近で塗装の摩耗が見られます。ネックはほんのわずかに順反りですが許容範囲内。フレットは1~7フレットで若干の摩耗ありますがこちらも適正値の範囲内で演奏性への影響はありません。ネック形状は普通の厚みのDシェイプでフラットな加工がされています。弦高は3.0/2.3㎜(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は0.5㎜となっています。重量は1.47㎏。

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