川田 一高 2016年製 SKW-45

川田 一高 2016年製 SKW-45モデル

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック/横裏板 ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1948年高知市生まれ。1963年に同地の製作家 田村満氏にギター演奏の手ほどきを受け、同級生の今井博水(のちに製作家として独立)らとギタークラブを結成。1966年高校卒業後に本格的にギター製作を田村満氏に師事、1974年に独立し自らの工房を開設して以来、同地高知市で現在も製作を続けています。

自身のオリジナルモデルの他、ハウザー1世モデル、ブーシェモデル、また表面板力木にワッフル構造を採用した現代的なスタイルでも製作。師の影響もあってかどのモデルでもレスポンスの速さと鳴りの豊かさが特徴であり、また工作精度の高さも特筆すべき点となっています。コンサートギタリストからの信頼も厚く同じ高知県出身の宇高靖人(ex-いちむじん)が愛用しているほか、何人ものプロギタリストが所有しています。

〔楽器情報〕
川田一高製作の SKW-45 2016年 No.1537 Usedの入荷です。表面板にワッフル構造(格子状力木)を採用したモダンスタイルのモデル。ハウザーやブーシェなどのトラディショナルなスタイルでも充実した仕事も見せる氏の、やはり優れた技巧とバランス感覚を感じさせる一本になっています。

ワッフル構造の常套的な仕様としてかなり表面板は薄く加工されています。力木構造はサウンドホーる上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー。この下側のバーは低音側に8cmほどの長さで高さ3㎜の開口部が設けれています。そして表面板下部(くびれ部より下側)は4本×4本の力木を互いに直角に交差させた格子状配置となっており、4本はそれぞれ低音側から高音側、高音側から低音側に斜めに横切るように設置されているため、表面板を正面からみると菱形を形成しているような形になりますこの合計8本の力木のうち一番サウンドホール側(つまり一番上の位置)に設置された高音側と低音側の2本はほかの6本と比較するとやや大き目に強固に加工されているため、どちらかと言えばバーとしての機能を果たしていると言えます。この8本の力木が形成する菱形の片方の頂点がサウンドホールの中央に、もう片方がフットブロックの中央に設定されています。レゾナンスはGの少し上。

ワッフル構造の特性的な音量の大きさはもちろん、これはもともとこのブランドの個性でもあるものですが、木がじかにぶるぶると震えるような生々しい木質感たっぷりの音色が特徴的。音響バランス(音量と発音における)は意外なほどにまとまっており、低音から高音までフラットに整った感触。音質的には各弦のばらつきはやはりありますが、乾いた音の感触と発音の生々しさとの相乗効果でどこかその不揃いな音質が逆にヴィンテージ的な雰囲気を醸し出しているのが面白い。そしてそのざらざらとした肌理を持った音のなかに表情の多様な変化があり、音量の増大や速い反応といった機能面だけでなく表現力においてもクオリティをしっかりと追及したモデルとなっているところはさすが。

表面板のサウンドホールの特に高音側にやや弾きキズが目立ちますが、その他は軽微な摩擦あとなどだけで良好と言える状態。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットも適正状態です。ネック形状は普通の厚みのDシェイプ。弦高値は2.9/4.1mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~3.0mmあるのでお好みに応じて低く設定することが可能です。重量は1.60㎏。

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