ラファウ・トゥルコウィアック 2019年製
ラファウ・トゥルコウィアック 2019年製
ネック:メープル
指 板:エボニー
裏 板:ジリコテ&メープル
横 板:ジリコテ&松
塗 装:セラック
糸 巻:アレッシー
弦 高:1弦 3.4mm/6弦 4.1mm 余剰:多少あり
[製作家情報]
ラファウ・トゥルコウィアック 1966年 ポーランド生まれ。父親は大工で、幼少より自然と木工への興味を深めていたようです。ギターの演奏も能くし、15歳で地元の音楽学校に入学しますが3年のカリキュラムをわずか半年で終了してしまうなど早くから才能を発揮していました。家庭環境の中から培った木工技術と演奏者として自然に湧きおこる楽器への深い興味とが合わさり、彼は当初からきわめて実用に即した演奏性と音響とを追求した製作を試みるようになります。現在クラシック、アコースティック、ウクレレからマンドセロまで広範なラインナップを旺盛に展開していますが、それらは全てデザイン、木材のセレクト、細かな仕様に至るまできわめてユニークなものとなっており、とりわけギターという楽器の音響効果におけるいくつもの「innovative」な試みを具現化した設計は評判となり、現在ヨーロッパを中心に人気が高まっています。
[楽器情報]
ラファウ・トゥルコウィアック製作のクラシックギター、2019年製作 No.273 美品中古の入荷です。この製作家独自の発想によるいくつもの新しい音響効果の試みが採用されたモデル。内部構造は高さ3mmにも満たない薄く平らな力木が格子状に配置されたいわゆるLattice ブレーシング構造ですが、オーストラリア派のように頑強な柱による表板と横板との補強は一切なく、ハーモニックバーとしてサウンドホール上に1本のみが配置され、その下はサウンドホールまでを囲むように格子が張りめぐらされています。また横板と表板、裏板それそれとの接合部に通常設置されるペオネスやライニングもなく、表横裏それぞれの板がじかに接着されています。ネックは「Acoustic Tubes」と呼ばれるこれもまたトゥルコウィアック独自の開発による共振システムが採用されており、12フレットより上のレイズドフィンガーボード加工になった指板サイド部分に特徴的な開口部が設けられ、ナットからボディへの振動伝達を飛躍的に上げているとのこと。レゾナンスはEの少し上に設定されています。
Lattice 構造のギターとしてはむしろ音量は適度にコントロールされ、発音も指のタッチにしっかりと寄り添うような心地よさがあります。低く設定されたレゾナンスと杉材、そして製作家が「WAVE type resonator」と名付けた上述の表面板システムの効果により、太くたっぷりとしたまろやかな響きに結実しており、伝統と現代的な感性の両方を感じさせる音色。
このブランドはまた個性的な杢目の材によるexotic な外観が特徴ですが、本器も横裏板には野趣溢れる杢目のジリコテ材を使用、裏板はアーチ加工が施されています。横板内側にはメイプル材、裏板内側にはスプルース材を貼り付けた二重仕様。また表面板はウェスタンレッドセダーで右肘を当てる部分には黒檀によるアームレストを模したような傾斜加工がされています。ロゼッタは黒檀と天然黒真珠が象嵌され、そこにブランドロゴのクラウンマークがあしらわれています。塗装はこれも製作家により独自に調合されたグロスフィニッシュ加工。表面板に僅かに数カ所のスクラッチ痕ありますがいずれも軽微なもので外観を損ねるものではありません。その他ネック、フレット、糸巻き等演奏性に関わる部分出の問題はなく、全体的に状態は良好です。20フレット仕様でこの部分のデザインは同じポーランドの製作家ボグスラウ・テリキスを想起させるもの。オリジナルブランドロゴ入りハードケース付き。