新着 ホセ・マリン・プラスエロ 2004年製 ブーシェモデル

 

叔父アントニオのブーシェモデルを規範とし、ホセ独特のシャープな輪郭の響きが魅力的な一本。
現在の同モデルと比較するとやや軽めのボディで塗装も薄めの繊細な仕上げゆえか、音色は木の質感がヴィヴィッドに感じられる乾いた感触。
その素朴な音の質感と同時に音響は実に豊かな深みを備え、また音色はタッチに応じて艶やかさをも表出し実何さ多彩に変化を見せるところはスペインギター、
そしてマリン工房の至芸と言えます。

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]                                    1960年 スペイン、グラナダ生まれ。同地を代表する名工アントニオ・マリン・モンテロ(1933~)は彼の叔父にあたります。1974年14歳の時に当時マヌエル・ベジードと共同製作をしていたアントニオの工房に入り、最初は主に塗装を担当しながら、並行して少しずつギター製作も学び、従事してゆきます。1979年にアントニオとともに同じグラナダの cuesta del Caidero に新しく独立した工房を開き、同年19歳で最初のギターを製作、この時より正式にマリン工房の製作家としての活動を開始します。ここで彼は自身のオリジナルラベルによる生産ラインを確立しますが、その後も袂を分かつことなく叔父アントニオと共にそれぞれのラベルによる製作を現在も続けています。また1979年はアントニオがそれに先立つ1977年より親交を深めていたフランスのロベール・ブーシェとの2度目の交流により、自身のマリン=ブーシェスタイルを確立した年でもあり、ホセはこの二人の巨匠の邂逅とそれによって生み出された製作メソッドをリアルタイムで学んでいます。

ホセのギターは叔父アントニオの工法と作風を十全に受け継ぎながら、音響と造作の両方において彼ならではの洗練を施した極めて質の高いモデルとなっており、現在のグラナダのスタンダードをもっとも円満に体現していると言えます。メインモデルとなるブーシェタイプの他、慧眼すべき見事なトーレスモデル、良質なフラメンコモデル等も製作。

[楽器情報]
ホセ・マリン・プラスエロ製作 ブーシェモデル2004年製 No.471 中古の入荷です。基本的に叔父アントニオのブーシェモデルを規範とし、ホセ独特のシャープな輪郭の響きが魅力的な一本。

内部構造はサウンドホール上に2本、下側に1本のハーモニックバー、左右対称5本の扇状力木が駒板の位置にほぼ横幅いっぱいに設置されたトランスヴァースバーを貫通してボトム部まで伸びている構造、トランスヴァースバーは高音側と低音側とで高さを変えて設定されています(山なりの形状ですが高音側のほうが低音側よりも高く加工されています)。またサウンドホール下のハーモニックバーには高音側と低音側とにそれぞれ数センチの開口部が設けられ、5本の扇状力木のうち一番外側のそれぞれ一本がその開口部を貫通したところで止まっています。レゾナンスはG~G#に設定。

現在のホセの同モデルと比較するとやや軽めのボディで塗装も薄めの繊細な仕上げゆえか、音色は木の質感がヴィヴィッドに感じられる乾いた感触。しかしながらそんな素朴な音の質感と同時に音響は実に豊かな深みを備え、また音色はタッチに応じて艶やかさをも表出し実何さ多彩に変化を見せるところはスペインギター、そしてマリン工房の至芸と言えるでしょう。
その仕上げの美しさでも特筆されるマリンのギターですが、全体は木の質感を感じさせるセラックニスによる美しい仕上げ。ネックはやや薄めのDシェイプでコンパクトなフィット感があり、弦高は標準的な設定ながら弦の張りはやや弱めでネックのボディに対する差し込見角度の設定もよ良く、左手はとても弾き易く感じます。

表面板の指板脇低音側に一箇所割れ補修履歴がありますが、適切で丁寧な処置がされており、今後の使用には全く問題ありません。十分に弾き込まれてきたためか表面板はその他も全体に弾き傷が多く残っています。横裏板は衣服の摩擦跡やスクラッチ傷等若干ありますが比較的良好な状態。ネック、フレット、糸巻きその他演奏性に関わる部分は全く問題ありません。

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