新着 ケヴィン・アラム Lola  1990年製

ケビン・アラム製作 1990年製  LOLA  が入荷しました。

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※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。

ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック /横裏板 セラック
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.5mm /6弦 4.2mm

〔製作家情報〕
1949年イギリス生まれ。もともとギターの修理や復元の職人としてスタートし、M.ラミレス、D.エステソ、ハウザー1世からアルカンヘル・フェルナンデス、J.L.ロマニリョスまでに至る銘器の数々の構造を実際に検分する機会を得たことが、後の彼の製作美学に大きく影響したことは推測してあまりあるところでしょう。1991年に現在のイギリス、ノース・デヴォンに工房を移してからは、トーレスとハウザーモデルに限定して製作。それから現在までの彼のギターはオイルフィニッシュ仕様となっており、木材の質感をなまなましく感じさせるとともに、薄い塗装ならではの木質感あふれる渋い響きが特徴。華美とは無縁の音色ながら、自らのギターはその音楽的表現力においてこそ特徴づけられるものだと言い切るその音響は、余計な要素をそぎ落とし、弾き手の指との完全なシンクロを目指しているかのような、厳しささえ感じさせる素晴らしいものとなっています。
またジュリアン・ブリーム愛用のギターとしても有名。この楽器製作での新たな才能を発掘することにおいても慧眼を発揮した稀代の名手が、1980年代後半に製作されたアラムのギターを2本、コンサートやレコーディングで使用したことは有名な話。

〔楽器情報〕
ケビン・アラム製作 ‛LOLA’ 1990年製 Used の入荷です。彼が現在のノース・デヴォンに工房を移す直前に作られたもので、有名なブリーム使用の2本のギターを製作したすぐ後の年式になります。トーレス/ハウザースタイルを踏襲した完成度の高い1本で、外観においても濃茶の杉材にメイプルを使用したバインディングや象嵌などの意匠が慎ましくも洒落たコントラストを生み出しており(裏板はローズウッドとバーズアイメイプルの3ピース仕様)、彼のデザインセンスも十分に感じさせるモデルになっています。

内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木にそれらの先端をボトム部で受け止める2本のV字型に配されたクロージングバー、駒板位置には同じ幅の補強プレートが貼られており、サウンドホール両脇とネック脚との間のスペースも薄いプレートによる補強が施されています。表面板はかなり薄く、全体も軽量に加工されています(重量1.36㎏)。レゾナンスはE♭~Eと低い位置に設定されています。

のちに彼の標準仕様となる堅めのオイルフィニッシュではなく、全面セラックによる繊細な仕上げ。このブランドとしては比較的珍しい杉材を使用したモデル。全体に薄めに加工された板、そしてセラック仕上げによる効果もあって、木がじかに震えるような生々しい音圧感が印象的。同様のギターにおいて、しばしばまとまりを欠いた音響のギターがあるのに対し、アラムの本作では各音の音像、発音、そして全体の音響バランスも実によく統制されており、彼ならではの完成度がここでも高く維持されています。発音の瞬間からくっきりとした点のような音が綺麗に立ち上がり、和音においては十分な拡がりを持ちながらあくまで清潔な響き。かなり低く設定されたレゾナンスと杉材の相乗効果もあってそのどっしりとした重心感覚も心地よい一本です。

表面板は全体に大小の弾きキズ、打痕等目立ちますが、横裏板は一部若干の塗装ムラをのぞいてほぼ傷のない状態を維持しています。割れ等の修理履歴はありません。表面板のブリッジ周りは弦張力によるわずかな歪みを生じていますが現状で問題のないレベルです。ネック、フレット、糸巻等演奏性に関わる部分での問題はございません。指板は過去に削り調整が施されており、フレット交換もその際に行われております。駒板のサドル固定木部はおそらく弦高を低くする処置のためわずかに削られた履歴がありますが、適切な処置がされており現状での問題は全くございません。弦高は現在値でやや高めの設定となっておりますがサドルに調整余地が十分にありますのでお好みに合わせて設定が可能です。

アラムは製作したギター一本一本にそれぞれ名前を付けています。そのほとんどは女性(を思わせる)の名前。本作は’LOLA’とラベルに直筆で記されています。

 

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