小森 廣 1998年製 No.80
小森 廣 1998年製 No.80
ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:カシュー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.1mm /6弦 3.9mm
〔製作家情報〕
1931年北海道生まれ。早くから木材とその加工に興味を覚え、10代のころには大工職人を志すなどしています。林野庁に10年勤務した後、楽器と木工細工への深い思いから、1964年に東京の河野賢工房に修行のため入所します。ここで8年間従事したのち1973年には埼玉県に独立して工房を立ち上げます。1991年故郷北海道に戻り工房を継続。
北海道という土地で自然からじかに木材の性質を学び、また常にそれらにかかわる仕事に従事してきたその経験値の高さから、やはり使用材へのこだわりは並みならぬものがあり、すべて最低10年以上自然乾燥させた材のみを使用。そして職人技ともいえる造作精度の高さ、さらには音楽への愛情に裏付けられた楽器は木の味わいを活かしたどっしりと重厚な味わいと貫録を有したものとなっており、メディアへの派手な打ち出しなどとは無縁なだけ、じっくりとファンを増やし続けました。また氏は国内で唯一のチター製作者としても知られています。
〔楽器情報〕
小森曠製作のハイエンドモデル No.80 のUsed良品が入荷致しました。
河野ギターの影響を顕著に見せながらも、職人としての深い矜持を感じさせる重厚な一本に仕上げています。赤、黒、茶を基調とした細かく繊細なロゼッタやパーフリングの意匠と全体のオレンジ色の塗装とがよくマッチングして洒落た外観。とても力強い音ですが全体にまろやかな音像で、発音はストレスがなく、タッチの許容範囲も柔軟なので気持ちよく弾ける感覚があります。
内部構造はサウンドホール上下に一本ずつの太く加工されたハーモニックバー、そしてその下の表面板下部は木目に沿って7本の力木が平行、等間隔に配置され、それら7本の上端(サウンドホール側)と下端(エンドブロック側)とをクローズするようにそれぞれ一本ずつのバーが横幅いっぱいにわたって設置されており、さらに駒板位置にも横幅いっぱいにわたって薄いプレート板が貼られている仕様。やはり河野賢の定番的な配置を想起させるものになっています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。
表面板指板脇低音側にわずかに木目に沿って段差が生じていますが現状では割れには至っておらず使用には問題ありません。その他ボトム近くと指板脇高音側に数か所浅いだ痕があります。横裏板はおそらく湿度変化の影響による塗装の白濁が生じていますがこちらも現状で使用には全く問題ありません。ネック、フレット、糸巻等の演奏性にかかわる部分はすべて良好です。塗装はオリジナルのカシュー仕上げ。
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