新着 ジャン・ピエール・マゼ 2019年

ジャン・ピエール・マゼ 2019年が入荷しました。

[詳細は画像をクリックしてご覧ください。]
※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。

ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラックニス/横裏板 ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
フランス、ブルターニュのサン=ポル=ド=レオン生まれ。ギターには若いころから演奏と製作の両方で興味を持っていましたが生業とするには至らず、1976年パリで財務省の職に付きます。公務員としての仕事に従事するなかで、1979年当時モンマルトルに住んでいたロベール・ブーシェ(1898~1986)の知遇を得て、ギター製作を学びます。このフランス最大の名工は彼に治具の作り方から製作において必要な美学的な点に至るまで細かな指導をし、これはブーシェが亡くなる1986年まで続くことになります。1983年に最初のギターを製作しますが、ブーシェからはアマチュアにとどまり気ままに製作をすることを勧められ、公務員を続けながら年一本のペースで地道に製作を続けます。ギタリストの故稲垣稔ら日本人との交流も深く、彼の初期の作(No.5)を日本のディーラーが購入し紹介したことで、日本はマゼの名がおそらく世界で最初にブランドとして高く認知されたマーケットになります。

「アマチュア」とは思えない完成度の高さと、その寡作な態度、そして特にブーシェとの長きに渡る交流(師弟関係)ゆえ、唯一の後継者として特に日本では認識されることが多く、彼の楽器は人気を獲得してゆきます。ブーシェが1986年に亡くなった時は未完のままとなっていた師の遺作を彼が仕上げ、ブーシェ未亡人から生前夫が使用していた工具や木材の全てを譲渡されます。その後も公務員の仕事と年一本の製作ペースを続けますが、数年前に定年退職し、現在は製作に専念、年2~3本のギターを世に送り出しており、日本だけでなく世界的な需要と認知の高まりを見せているブランドです。

〔楽器情報〕
ジャン・ピエール・マゼ 製作 2019年製 No.46 Used の入荷です。表面板は松、横裏板はインディアンローズウッドの近年の彼の定型となっている仕様(2000年代最初までは横裏板が中南米ローズウッド仕様)。構造的にも音響的にも当然のことながらブーシェの影響を色濃く受けたものですが、彼はその製作哲学を深く柔軟に吸収しながら、あまり主張しすぎることのなく自らの個性と融和させており、それが自然他のブーシェフォロワーにはないカラーを生み出しているところが特筆されます。

内部構造はブーシェ後期の7本の扇状力木と駒板位置にほぼ横幅いっぱいに設置されたトレヴェルスバーという配置を踏襲したものですが、一番低音側の力木だけがバーを貫通せずにそこで止まっており、またその7本の力木の断面形状は高音側の3本は山型でそれ以外は角型になっているなどの独自の工夫が見られます。サウンドホール上側には2本のハーモニックバーと三角型の補強プレート(ちょうど扇状力木7本の設置範囲と相似形をトレースするように)が2本のバーの間とネック脚とバーの間に一枚ずつ貼られています。サウンドホール下側には高音側と低音側とにそれぞれ開口部を設けたハーモニックバーが設置されており、7本の扇状力木のうち両外側の各2本が子の開口部をくぐり抜けてサウンドホール縁まで延伸しています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています(ブーシェはA)。

やや強めの粘りをもった硬質な響きですが、ドイツ的な剛健さとは異なり、フランス的な角の取れた独特の丸みと繊細さがあり、そこにマゼ独自のほのかな暗さを纏わせたような音色が魅力的です。タッチに絡みつくような発音で、曲の細かな部分での身振りや表情の変化における反応が早く心地よい。中低音~低音はBassとしての十分なうねりと野性味があり、高音の凛とした繊細さとのなんとも言えない対照を作り出しています。

とても良好な状態で軽微な、摩擦あとのほか目立った傷はありません。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分も良好です。ネックは普通の厚みのDシェイプ加工で指板はクラシックギターとしてはやや強めのラウンド加工がされています。サドルには1.0~2.5ほどの余剰がありますので弦高値はお好みに応じてさらに低くすることが可能です。20フレット仕様。ブリッジ弦穴はダブルホールになっています(通常の巻き方も可能です)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です