新着 ホセ・ヤコピ 1969年製

 

ホセ・ヤコピ 1969年製

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:ヤコピ オリジナル
弦 高:1弦 2.7 mm/6弦 3.5mm

ホセ・ヤコピ(1916~2006)。スペインのビトリア生まれ。父親のガマリエル・ヤコピの工房に入り、18歳の時に最初のギターを製作しています。1949年には家族でアルゼンチンのブエノス・アイレスにほど近いサン・フェルナンドに移り住んで工房を開き、そこで生涯ギターを作り続けました。最初は父親と同様にアントニオ・デ・トーレスを規範とした伝統的なスペインギターを製作していましたが、移住する直前の1947年ごろから父親と共に発案した、通常とは逆方向に放射状に配置された扇状力木構造を採用するようになり、これがこのブランドの特徴となります。本国アルゼンチンではその需要の増大に対応するために工房品含め年間約300本のギターを出荷していた時期もありますが、最上位モデルはその1割ほどで、良質な材を使用して本人が製作しています。

非常に独特な音響と音色を備えており、中低音から低音にかけての重厚で柔らく、奥行きのある深い響きと引き締まって艶やかな高音との対比とバランスが素晴らしく、ポリフォニックな曲を演奏した時の立体感は他のギターでは味わえない魅力があります。また音色には南米的な澄んだ色気があり、これが古典と現代の両方の雰囲気を併せ持つことから、クラシック奏者からポピュラー音楽までの幅広いユーザーに愛されてきました。マリア・ルイサ・アニードやエドゥアルド・ファルーらが愛用し、また近年ではボサノヴァや南米音楽の愛好家にも絶大な支持を受けています。
現在は息子のフェルナンド・ヤコピが工房を継いでいますが、ファンの間ではやはり1960年代から亡くなる前の1990年代までのJose本人による楽器に人気が集中しています。

[楽器情報] 1969年作。1960~70年代の人気が高い時期の一本です。彫刻をあしらったヘッドデザイン、真珠貝をモチーフにしたボタンのオリジナル糸巻き、南米的なヴィジュアルを演出する赤茶の塗装、野趣あふれる中南米ローズ材を使用した横裏板もフォトジェニックで、どっしりと落ち着いた外観はまさにヤコピならでは。

低音から高音までとてもまろやかな音像で、それでいて芯の強い響きもまたこのブランドの特徴でしょう。文字通り南米的なニュアンスたっぷりですが、どこか古楽器的な素朴さとも質を同じくするところもあり、ルネサンス・バロック音楽等での演奏では現代のギターにはない味わいが生まれます。

内部構造は左右対称6本の扇状力木が、通常とは逆に胴底のフットブロックを頂点とするようにしてサウンドホールに向かって開いてゆくような形で配されており、これは父親で同じく製作家であったガマリエル・ヤコピと共同で考案したこのブランド特有の構造。レゾナンスはG#に設定されています。

おそらくネック反りの修理のために一度指板は二重加工がされています。2~3mmの黒檀が元の指板とネックの間にはめ込まれており、その為ネックは若干厚めになっていますが標準値の範囲内となっていますので演奏性に影響はありません。ネック形状はDシェイプ。表面板センターのブックマッチ部分は製作時から補強のためにパッチ板が貼られています(これはヤコピギターの初期設定となっています)。割れ等の修理履歴の無い、この年代のものとしてはとてもきれいな状態。表面板サウンドホール付近などに若干の弾き傷、裏板には衣服等の摩擦による塗装ムラが一部生じていますが、外観を損ねるものではありません。ネック、フレット現状適切な状態です。オリジナル糸巻きは3弦と4弦のウォームギアはほんの少し歪みが生じていますが動作状況は全く問題有りません。このブランドの60年代の物としてはトータルに良好な一本です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です