新着 ホセ・ヤコピ 1977年製

ホセ・ヤコピ 1977年製

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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表面板→セラックニス、横裏板→ラッカー
糸 巻:ヤコピオリジナル
弦 高:1弦 3.0 mm/6弦 3.5 mm

[製作家情報] ホセ・ヤコピ(1916~2006)。スペインのビトリア生まれ。父親のガマリエル・ヤコピの工房に入り、18歳の時に最初のギターを製作しています。1949年には家族でアルゼンチンのブエノス・アイレスにほど近いサン・フェルナンドに移り住んで工房を開き、そこで生涯ギターを作り続けました。最初は父親と同様にアントニオ・デ・トーレスを規範とした伝統的なスペインギターを製作していましたが、移住する直前の1947年ごろから父親と共に発案した、通常とは逆方向に放射状に配置された扇状力木構造を採用するようになり、これがこのブランドの特徴となります。本国アルゼンチンではその需要の増大に対応するために工房品含め年間約300本のギターを出荷していた時期もありますが、最上位モデルはその1割ほどで、良質な材を使用して本人が製作しています。

非常に独特な音響と音色を備えており、中低音から低音にかけての重厚で柔らく、奥行きのある深い響きと引き締まって艶やかな高音との対比とバランスが素晴らしく、ポリフォニックな曲を演奏した時の立体感は他のギターでは味わえない魅力があります。また音色には南米的な澄んだ色気があり、これが古典と現代の両方の雰囲気を併せ持つことから、クラシック奏者からポピュラー音楽までの幅広いユーザーに愛されてきました。マリア・ルイサ・アニードやエドゥアルド・ファルーらが愛用し、また近年ではボサノヴァや南米音楽の愛好家にも絶大な支持を受けています。

現在は息子のフェルナンド・ヤコピが工房を継いでいますが、ファンの間ではやはり1960年代から亡くなる前の1990年代までのJose本人による楽器に人気が集中しています。

[楽器情報] 1977年製、No1544 中古が入荷致しました。当時すでにかなりの出荷本数を誇っていたこのブランドの、いわゆるフラッグシップモデルとも言えるもので、ホセ・ヤコピ本人のサインが記されたラベルが貼られています。ブランドオリジナルの糸巻き、野趣を感じさせる中南米ローズ材を使用した横裏板もフォトジェニックで、どっしりと落ち着いた全体の外観はこのブランドならでは。全体を包み込むように響く中低音~低音のまさにBassとしての響きはやはり大変に魅力的で、対して高音は1音1音に芯がしっかり通った、明確で強い表情を備えており、その対比とバランスによる音楽的な表現力は彼の出自たるスペインの名器とも明らかに異なる性質を有しています。また彼の60年代の、ある種の野性味を感じさせた響きと比較しても音響は程よく洗練され、弾いていて心地よく、同時にその潜在的な表情の豊かさに引き込まれてゆくようなギターです。

内部構造は胴底のフットブロックを起点とするようにして、サウンドホール方向に向かって扇を拡げてゆくように配された左右対称6本の扇状力木で、通常の扇状力木とは開く方向が逆になっているヤコピ特有の構造。センターのブックマッチ部分は力木ではなく数個の小さなパッチ板が貼られており、これもヤコピの常套的な処置。表面板を横切って配置されるバーはサウンドホール上下に一本ずつ、さらにネックヒール部近くに位置にも短いバーが一本設置されています。表面板と横板との接合部分に接着されるペオネス(木製の小型ブロック)は三角形タイプではなく、断面の形がちょうど椅子のような形状になったものを設置。レゾナンスはF#の少し上という、ヤコピとしてはやや低めの設定になっています。

表面板下部のセンターに一箇所と裏板上部の肩の部分に細かな数か所の割れ補修跡有りますが、適切な処置が施されており使用には全く問題ございません。その他年代相応に弾き傷、打痕(ブリッジ下1~2弦部分に弦とび跡等)など有りますが外観を著しく損なうものではいずれもありません。表板はセラックニス仕上げ、横裏板はラッカーでの再塗装が過去に施されています。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性に関わる部分は状態、動作ともに問題ありません。ネックはヤコピのものとしてはやや薄めに加工されたDシェイプタイプで、角の取れた形状をしているのと弦高値も適切なのでとても握りやすく感じます。

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