朝倉 宏泰 2013年製 サイモン・マーティモデル

 

朝倉 宏泰 2013年製 サイモン・マーティモデル

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.5mm

〔製作家情報〕
埼玉県所沢市に工房を構える製作家。2001年より約4年の間、福岡良兼氏に師事。現代ギター社主催ギター製作コンクール 2010年第2位、2014年第1位を獲得しています。G.スモールマン、S.マーティ、ジョン・ギルバート等の影響を受けた、主としてモダンタイプのギターを製作しており、日本ではまだ珍しいこのジャンルに特化した製作活動を行うルシアーとして近年評価の高まりを見せています。笹久保伸、萩野谷英成ら若手気鋭のギタリストが彼のギターを愛用しています。

〔楽器情報〕
朝倉宏康製作のサイモン・マーティモデル 2013年製中古が入荷致しました。オーストラリアではグレッグ・スモールマンのラティスブレーシング構造によるギターとは別に、もう一つの大きな流れとして製作家のサイモン・マーティが考案したラディアルブレーシング構造のギターが有名ですが、本作は文字通りそのS.マーティによるラディアル構造を踏襲したモデル。ラディアルの名の通り、表面板のブリッジ部を中心にして力木を放射状に配置した構造で、音量の増大、速いレスポンスが得られます。

ブリッジ位置を中心にしてサウンドホール側に向かって5本、ボトム方向に5本、駒板と同じ向きに高音側と低音側にそれぞれ1本ずつの計12本の力木が配置されており、高音側と低音側とでアシンメトリな配置関係になっています。レゾナンスはG~G#に設定。

朝倉氏が製作コンクールで1位を受賞した頃の製作で、工法的に凝っていて製作に手間と難しさがともなうモダンギターをしっかりと作り上げています。力木配置の他にも12フレット以降の演奏性を追求したレイズドフィンガーボード、右肘の安定性に寄与したアームレストの設置、アーチ加工が施された裏板、骨材によるサドルではなく各弦を金属の円柱の上で支えるピンブリッジシステム(これはアメリカの製作家ジョン・ギルバートのギターで有名)などを採用し、それぞれが高度な仕上がり。最大の特徴とされる音量と反応性も不足なく、弦高は高めながら弾き易さを感じさせます。修理履歴はなく、表面板は全体に少々のキズ、塗装のウェザーチェックなどがありますが年代相応のレベル。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分の問題もございません。また外観的にもインパクトの強い木材をこのんで使用する朝倉氏だけに、本作での赤みの強い中南米産ローズウッドも印象的。糸巻きはスイスのブランドSchertler製の単式タイプを装着。