新着 アンドレア・タッキ 2022年製 Omaggio A Robert Bouchet

アンドレア・タッキ 2022年製 Omaggio A Robert Bouchetが入荷しました。

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※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:アレッシ(オリジナルモデル)
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
1956年イタリア、フィレンツェに生まれる。現代イタリアを代表する製作家。
この歴史ある街で多種多様な職人達の優れた仕事と作品とに間近に接しながら過ごした彼は、幼い頃より想像力が豊かで工作技術に長けていました。15歳には最初のギターを製作し、その後アルゼンチン人の製作家 Ricardo Brané との出会いがきっかけで、大学で機械工学を学ぶかたわら、本格的にギター製作を自らの生業とすることを決意。しかし程なくしてBrané が若くしてこの世を去り、師を失った彼は自ら探求を始めます。そしてまず彼の敬愛する同時代の製作家達を、スペイン、フランス、イギリスそしてアメリカにまで及んで訪れ、ホセ・ロマニリョス、フレタ、ラミレスⅢ世といったまさに第一線のルシアー達より製作に就いての貴重なアドバイスを受け、議論し、見識を深めてゆきます。特にフランスの伝説的な名工ロベール・ブーシェ(1896~1986)とダニエル・フレドリッシュ(1932~2021)の二人からは製作の実用的な助言だけでなく、ギター製作に適した工具や治具の作り方、そして楽器作りにおいていかにインスピレーションとイマジネーションがその芸術性に寄与していくかを学び、その美学は現在も彼の重要な基礎となっています。

1985年にはフランスのカストレで開催された’Concours International des Facteurs de Guitare’において「芸術性」で1位、「音響」で2位を獲得し、これをきっかけにイタリアの新しい世代を担う製作家として世に認められるようになります。1989年には彼のオリジナルとして最重要モデルとなる “Coclea”を発表。極めて緻密な幾何学的、数学的なアプローチと伝統的な工法、そして彼の音楽芸術への深い造詣と嗜好が融合したものとしてイタリアのみならず現代のギターの中でも非常に特殊な位置づけがされているモデルとなっています。さらに飽くなき探求を続ける彼はその後アントニオ・デ・トーレス(1817~1892)の最晩年のギターにおける工法上の秘密をやはり科学的なアプローチを経て突きとめ、その研究をもとにまたしても非常に個性的なモデル“Thucea”を作り上げます。表面板の中央にヨーロピアンスプルース、その両外側にウェスタンレッドシダーという比重の異なる木材を合わせた4ピース仕様は響板としての振動効率を最大限に上げ、発音と遠達性の両方で未聞の成果を上げたものとなりました。また彼のもう一つの重要なラインナップとして、敬愛する偉大な先人達へのOmaggio(オマージュ)シリーズがあり、エンリケ・ガルシア、フランシスコ・シンプリシオそしてロベール・ブーシェのモデルが発表されており、そのレプリカとしての枠を超えた極めて高い完成度ゆえ、ギターファンからは垂涎のマストアイテムとなっています。

彼のギターは、それがスペインやフランスのギターへのオマージュである場合においても、独特な位相による遠近感の際立った発音と、聴く人を安心させる温かみのある音色、奥行きがありながらもしっかりと引き締まった音響などが特徴で、弾き手のインスピレーションを誘発する魅力が溢れたものになっています。そして隅々まで愛情がゆきわたった精緻な造作と意匠のセンス、そのトータルな外観としての気品はやはり比類なく、現代の最上のギターブランドの一つと言えるでしょう。

現在も旺盛に製作を続け、イタリアを中心にベテランから若手まで世界中のプロフェッショナルギタリストに彼のギターは愛用されています。

[楽器情報]
アンドレア・タッキ 製作 Omaggio A Robert Bouchet 2022年新作入荷です。
「ロベール・ブーシェへのオマージュ」という名を冠された本作は文字通りこの稀代の名工への深い敬意とともに、タッキ氏自身の芸術的感性と工作技能の全てを注ぎ込んだような濃密な一本に仕上がっています。

まずその音が素晴らしい。かつてブーシェのギターを手にしたジュリアン・ブリームが「小さなオルガンのようだ」と評したその音響特質をしっかりと掴みつつ、タッキならではのgentlenessがそこに加味されたなんとも表情豊かな楽器となっています。発音はくっきりと、そして硬質とさえいえるものですが、その一つ一つの音にはそれこそ上記のブリームの言葉のように濃密な芯と柔らかな触感があり、力強くしかしあくまで控えめな、その凛とした佇まいが大変に魅力的。表情を繊細極まりないレベルにおいて、表面だけでなくその奥行きにおいても変化させて行く様はまさに音楽的で、奏者の心の動き(指のタッチ)に完全にシンクロする感覚がありますが、更には楽器のほうからも提案してくるような有機的なレスポンスが得られるのはもはや名器と言えるほどのレベル。和音やアルペジオでは音の分離性を保ちながら、やはり表情豊かな拡がりと奥行きを生み出し、しっかりとうねりを形成してゆきます。それは単音での旋律、和音での伴奏という基本スタイルにおいて、まるで室内楽のような音響空間となってゆくのを感じることができます。

アンドレア・タッキのもう一つの特徴として挙げることのできる、控えめなモダン性もここでは十全に備わっています。「Omaggio」(オマージュ)シリーズに現れているように、偉大なマエストロ達への敬意を表しながら、彼自身の性質としての現代感覚が音響全体を慎ましく洗練させており、その結果ルネサンスから現代に至るまでの幅広いジャンルに対応できる楽器に仕上げているのも特筆すべき点でしょう。

内部構造はオリジナルブーシェに準拠しながらも、ここでもタッキ自身のクリエイティブな工夫を慎ましく加えています。サウンドホール上側に2本、下側に1本のハーモニックバー(下側のバーは中央部に凹みのカーブを掛けたスキャロップドタイプで低音側には3mmほどの高さで開口部が設けられています)、左右対称の間隔で配置された5本の扇状力木と駒板位置に設置された「トランスヴァースバー」という全体の配置。5本の扇状力木のうち一番低音側の一本は上記ハーモニックバーの開口部を潜り抜けてサウンドホール縁近くまで延伸しています。また特徴的なのがブーシェ最大の特徴と言える「トランスヴァースバー」ですが、通常駒板と同一線上に横幅一杯にわたって設置するところ(5本の扇状力木はこのバーを貫通してボディボトム部まで伸びています)、やや高音側をネック方向に傾斜させ、範囲も高音側に寄せて設置されており、一番低音側の扇状力木はこのバーを貫通しない形で配置されています。いわばブーシェオリジナル構造に高音側と低音側とでアシンメトリの発想を盛り込んだものになっており、数多あるブーシェレプリカあるいはブーシェの影響を受けたとされるブランドにおいても同様の配置は見られない、独自のものとなっています。レゾナンスもまたここでは(おそらく意図的に)F#の少し上という低めの設定がされています。

意匠の細部に至る精緻さとセンスも特筆すべき点ですが、今回このモデルのために氏が長年温存してきたハカランダ材を使用、表面板のヨーロッパ松、ネックのマホガニー材に至るまで最高品質のマテリアルをセレクトして下さいました。そして糸巻はイタリア高級ブランドAlessi製のタッキオリジナルデザインによる特別モデルを装着(buttonはなんとタッキ氏の自作)。ネックはやや薄めのDシェイプで弦の張りも中庸、ストレスのない発音と相まって両手ともストレスなく弾ける感触です。

国内での新作が非常に貴重な現代イタリアの名工、そのフラッグシップモデルとも言える名モデルの入荷です。

 

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