新着 野辺正二1963年製オールド

野辺正二1963年製オールドが入荷しました。

ネック:マホガニー
指 板:ローズウッド
塗 装:カシュー
糸 巻:単式
弦 高:1弦  3.3 mm/6弦 4.0 mm

〔製作家情報〕
1935年生まれ。東京の指物職人であった父野辺幾衛がその技術を生かしギターの修理をする事から野辺ギター工房は始まります。1965年に独立し自身の工房をスタート。江戸指物師の流れを汲む家系らしく良質な木材の選定と高い工作技術、意匠のセンスと味わい深い外観の仕上がりなどが特徴です。音色もそのたたずまい同様に渋く滋味深いもので、スペインギターを基本としながらも華やかさとは一線を画した、まさにいぶし銀のような味わいを持ったものとして他にはない個性を持っています。

同様にギターを製作した野辺邦治は兄にあたります。生涯現役で良質なギターを製作し続けましたが、2004年に死去。現在は息子の野辺雅史氏が父の工房を引継ぎ、彼の残した工具やストック材を使用してブランドを存続しています。またもう一人の息子野辺成一氏も独立して自身の工房を立ち上げ、クラシックギター製作のほか古楽器の修理やアンティーク家具の販売をおこなうショップを経営しています。

〔楽器情報〕
野辺正二1963年製オールドの入荷です。独立して工房を立ち上げる前のモデルで、その後の野辺氏のギターとは異なる、純粋にスパニッシュヴィンテージ的な響きを希求していた時期のもの。力木配置はほぼ平行に(表面板の木目に沿うように)配置された5本の力木と、一番外側に駒板脇に設置された短い力木の合計7本で、これはサントス・エルナンデスまたはマルセロ・バルベロ1世の配置を直ちに想起させるもの。発音にも粘りがあり、素朴な明るい音ですが、まろやかな音像は後年の野辺氏のギターの萌芽を感じ取ることが出来ます。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

全体に弾き傷、細かな打痕、スクラッチ跡等あります。表面板は指板脇とロゼッタ縁に補修履歴があるほか、おそらく表面全体を一度再塗装し傷を補修した履歴がございます。ネックはほぼ真っすぐを維持しており、フレットも適正値です。指板は1~4Fで若干の摩耗が見られますが演奏性を損なうほどではありません。糸巻はヘフナー製の単式タイプを装着(④弦のみ国内メーカー品に交換済)。駒板のサドル装着部分は各弦ごとに切り込みを入れてサドルの下げ幅を確保するような加工が過去にされており、使用上は問題ありませんが、切り込みを入れた部分に塗装処置がされていないためやや目立ちます。

日本の名工、初期の佳品、味わい深い一本です。

 

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