マルセロ・バルベロ・イーホ 1999年製

マルセロ・バルベロ・イーホ 1999年製

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステロ
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm

〔製作家情報〕
1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。13歳の時に父バルベロ一世が他界し、最初はホセ・ラミレス3世の工房で修行していましたが、バルベロ1世の弟子であったアルカンヘル・フェルナンデスが自身の工房を開き、1957年にそこへ徒弟として入ることになります。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。

〔楽器情報〕
マルセロ・バルベロ・イーホ オリジナルラベルによる1999年製中古です。
内部構造はちょうどセンターに配された力木を中心に高音側に3本、低音側に2本の計6本の扇状配置にそれを胴底でハの字に配された2本の力木が受け止める構造で、駒下位置にはパッチ板が貼られています。これはアルカンヘル工房のクラシックモデルではスタンダードな配置。レゾナンスはG~G#で設定されています。

ヘッドシェイプは工房モデルとは異なり、父バルベロ1世~アルカンヘルと引き継がれた特徴的な形状を踏襲し、ラベルもオリジナルデザインによるものを使用。シリアルNo.35は同モデルでの製作通し番号となります。横裏板にはこのモデルのために特別に材が選定され、スペイン随一の良材ストックを誇る工房ならではの極めて良質な中南米産ローズウッドが使われています。

その製作キャリアの全般で素晴らしい仕事をしてきた彼ですが、特に1990年代後半から晩年に至る彼のギターはその音楽的表現力の深化という点で素晴らしく、渋く素朴な音色は滋味と力強さを内包しており、良質なマドリッドサウンドの伝統をを体現していると言えるでしょう。発音には師アルカンヘル譲りの独特の粘りがありますがレスポンス早く心地よく、豊かな音量も申し分ありません。
ボディ全体にセラックでの上塗り処理が施されております。表面板の特に高音側、サウンドホールから指板脇に掛けてこまかな浅い弾き傷が多くあります。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性に関わる部分は全く問題なく、全体に良好な状態です。

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