ペドロ・デ・ミゲル 2001年製

ペドロ・デ・ミゲル 2001年 フラメンコ・ネグラ(黒)

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.5mm/6弦 3.0mm

[製作家情報]
スペイン、マドリッド生まれのペドロ・ペレス(1958~2008)とミゲル・アンヘル・ロドリゲス(1960~)による共同ブランド。二人とも10代半ばでホセ・ラミレス3世の工房に弟子入りし、1980年代最初にはマスタービルダーとしての地位を与えられていたようです(ただしラミレスの公式ID No.リストには記載はされていません)。二人は1990年に同工房を辞し、翌年同じマドリッドのAmor de Dios 13番地に工房を開きブランド名をPedro de Miguel として運営を開始します。2008年にペドロが早すぎる死を迎えますが、ミゲルは二人の名を冠したブランドを維持して製作と経営を続けてゆきます。その後ペドロの息子ルベンとミゲルの息子アルバロが職人として加わり、親子二代にわたるブランドとして堅実に基盤を硬め、現在に至ります。

クラシック、フラメンコの両方を製作していますが、やはりメインとなるのはフラメンコモデル。ミドルクラスからプロフェッショナルまで機能性と芸術性の両方で充実したクオリティを有しており、実際にプロのユーザーも多い。硬質でシャープネスが際立つ現代的なフラメンコモデルとはやや異なり、本人の温厚な性格を反映してか、フラメンコの身振りを十全に備えながら、むしろ耳に柔らかくジェントルな音像が特徴となっています。

[楽器情報]
ペドロ・デ・ミゲル 2001年製 No.91.159 フラメンコ・ネグラ(黒)Usedの入荷です。このブランド独特のジェントルネスを感じさせる一本。同じスペインの名ブランドによるフラメンコと比較すれば音量や音色の多彩さという点でやや落ち着いた印象がありますが、表情そのものには非常に魅力的な(フラメンコとしてはむしろ珍しい)慎ましい渋味があり、ひとつひとつの音像はくっきりと、そして柔らかな感触。しかしながら発音は(これもこのブランドの特徴ですが)特に本作は横裏板に中南米ローズウッドを使用した「ネグラ」ということもあって、実に粘りがあり反発感の強いレスポンス、これが十分なうねりを生み出し、フラメンコにふさわしい身振りをつくり出しています。発音から減衰までが短く、音の密度が維持されているので、例えば最弱音においてさえ隅々まで表情が行き届いているような感覚があります。

力木配置は、サウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は左右対称でやや短めな7本を設置(先端がブリッジプレート付近までで止まっている)、ボトム部には2本のV字型に配されたクロージングバーがやや離れたところで扇状力木の先端を受け止める形となっています。レゾナンスはE♭~Eで設定されています。

全体はセラック塗装仕様。板は薄く加工されており、表面板のブリッジのネック側とボトム側としてやや凹みとふくらみが見られます。表面板の高音側くびれ部よりボトムに至る長い割れ、低音側の下部ふくらみ部に数センチほどの割れがありますが、それぞれ補修がされています。裏板高音側のくびれ近く、横板高音側にも割れ補修履歴があります。また表面板にはしっかり弾き込まれてきたため弾きキズや打痕等がやや多く見られます。横裏板は衣服等による摩擦などありますが比較的にきれいな状態です。ネックはやや順反りですが演奏性に支障のないレベル、フレットは適正値を維持しています。

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