新着 田邊 雅啓80号 トーレスモデル 2021年

「田邊 雅啓80号 トーレスモデル 2021年」が入荷致しました。

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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 3.0 mm/6弦 4.0 mm

〔製作家情報〕
1974年群馬県生まれ。幼少の頃より音楽と工作に深い興味を持ち続け、20歳の時にクラシックギターの製作を志します。 法政大学卒業と同時に石井栄に師事して製作技法を学び、同工房にて自作品として140本近くを製作。その後2001年に渡欧して各地の弦楽器工房を訪問すると共に、ホセ・ルイス・ロマニリョスのマスタークラスに参加し、スペインギターの伝統的な製作方法に触れたことで自らの方向性を確信します。帰国後に栃木県足利市に独立して工房を構えますが、マスタークラスで出会った尾野薫にアドバイスを受けながらさらなる製作研究に一年をかけて、2002年にその後の彼のメインモデルの一つとなるロマニリョスモデルを発表します。その後2004年に再度渡西した折には、同地の名工達の工房を訪ね更に見識を深め、特にマドリッドの不世出の名工アルカンヘル・フェルナンデスからは助言と共にその製作姿勢に多大な影響を受けています。

師の教えを実直に守り、ひたすらに良い音を求めるその製作態度を貫き、年間わずか5~7本前後と製作本数が限られるため、現在新作が最も待ち望まれる製作家の一人。 どんな細部も揺るがせにしない緻密で繊細な手と、持って生まれたしなやかな感性で製作された彼の楽器は、伝統に深く立脚しながらも新たな音響のニュアンスを感じさせるギターとして国内外で高く評価されるに至っています。2018年にはNHKの人気番組で工房での製作風景が放映された他、新聞や海外のギター専門誌からの取材オファーを受けるなどメディアからも注目されており、2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。

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〔楽器情報〕
田邊雅啓トーレスモデル2021年Used 状態良好の1本が入荷致しました。もはや彼のフラッグシップモデルとも言える非常に優れたトーレスですが、実際に規範としたのはフランスの名工ロベール・ブーシェの初期のもので、トーレス=ブーシェ タイプとも言えるモデルです。左右対称の7本の扇状配置力木で、その両外側の2本がサウンドホール下のハーモニックバーを貫通しサウンドホール縁取りまで伸びている構造。サウンドホール両側に外側に向かうように(丁度横板のカーブに沿うように)斜めに一本ずつの力木配置、ボディボトム部には扇状力木の先端を受け止めるハの字型に配された2本のクロージングバーという構造になっています。レゾナンスはGに設定されています。

いつもながらオリジナルへと肉薄してゆくような密度の高い再現性もさることながら、その明晰な発音とバランス、清冽と同時に滋味を湛えた味わい深い響きと音色、タッチに鋭敏に反応する極めて繊細な表現力などは比類なく、トーレスモデルのひとつの完成形と言える一本に仕上がっています。そして現代のなかばオートマティックな発音機能を備えたギターとは全く異なり、奏者にはしかるべき指先のタッチに関する熟練が求められますが、そこから立上ってくる表情の音楽的な深さもまたこの楽器の大きな魅力の一つでしょう。またオリジナルサイズに準拠した細めのナット幅(49.0mm)とフラットなDシェイプのネックは左手のグリップ感がコンパクトで、低めの弦高設定と相乗して高い演奏性を実現しています。

全体はセラックニス仕上げ、シンプルな外観ながらも細部まで行き届いた精緻な造作や、緑と茶を基調とした繊細極まりない口輪やパーフリングのデザイン、駒板の白蝶貝の象嵌などが洒脱なアクセントになり、気品ある佇まい。長年研究を続けている田邊氏ならでははの充実したトーレスモデルとなっています。

材の選定から塗装までを完全ハンドメイドにて仕上げており、それぞれの工程において決して妥協を許さないその製作態度ゆえ現在は年間わずか5本ほどの寡作なブランド。大変貴重な中古の入荷です。

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