新着 ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ 1969年製
ソブリーノス・デ・ドミンゴ・エステソ 1969年製が入荷しました。
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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:木ペグ
弦 高:1弦 2.2 mm/6弦 2.9 mm
〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。
1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。
1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。
そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。
グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。
コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。
〔楽器情報〕
コンデ・エルマノスの「Sobrinos~」ラベルによる1969年製作のUsedです。横裏板シープレスのいわゆるフラメンコ「白」モデルで糸巻は木製ペグ。演奏性、発音のニュアンス等すべてにおいて不足のない、さすがの仕上がりで、この名ブランドがこの後個性的な方向性を邁進してゆく直前の、円満なフラメンコギターとなっています。
内部構造もサウンドホール上下各一本のハーモニックバーに左右対称7本の扇状力木、それらの先端をボトム部で受け止める2本のハの字型に設置されたクロージングバーというオーソドックスな配置(のちのコンデ・エルマノスギターではかなり個性的な力木構造を創案している)。レゾナンスはF~F# に設定されています。
コンデギターといえばあの硬質で強い粘りのある音がブランドの個性となっていますが、ここで聴かれるのは木質のふくよかでヴィヴィッドな発音、まさにオールドスパニッシュのニュアンスをたっぷり含んだギターです。全体に年代相応の弾き傷のほか、ラッカー仕上げの塗装にはウェザーチェックが入っておりますが、この年代のフラメンコとしては珍しく割れなどの修理歴はなくかなり良好な状態を維持しています。ネックはほんのわずかに順反りありますが許容範囲内で演奏性には影響ありません。ネックシェイプはかなり薄めのDシェイプ、フレットと指板はほんのわずかに摩耗ありますがこちらも現状で使用に問題ありません。弦高は12フレット上で2.2/2.9mmでベストな設定、ただしサドルはぎりぎりまで下げられており余剰のない状態です。ボディ重量は1.22㎏。
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