新着 アルカンヘル・フェルナンデス 2003年
アルカンヘル・フェルナンデス 2003年製 が入荷しました。
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ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.8mm
[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。
マヌエル・ラミレスから続くマドリッド派の哲学を真に継承し、頑ななまでにそれを護り通したほとんど唯一の職人であり、その芸術性においても極点を示した20世紀後半のスペインを代表する製作家です。
その個性的な人柄にまつわるエピソードは枚挙にいとまがなく、彼と接した人間なら誰もがその魅力と共に語るところですが、映画俳優、家具職人、そしてフラメンコギタリストという経歴もまたユニーク。当初ギタリストとして身を立てるべく自分の演奏用にと良いギターを探していたところ、1954年に当時サントス・エルナンデスの後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世の知己を得て、やがて家具職人として培った技術を活かしギター製作を学ぶこととなります。しかしバルベロ1世がその2年後に52歳の若さで他界。アルカンヘルは師を引き継いでバックオーダー分のギターを全て完成させたあと、そのわずか2年間にバルベロから学んだことを糧にして自ら1957年に工房を立ち上げます(後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホがスタッフに加わり、共に同じ工房で製作を続けていました)。
造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼のギターはそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の熟練と洗練を要求するものとなっています。相手が有名ギタリストでも気に入らなければそれにおもねることなど一切しなかった彼の性格ゆえ、その名声に比してメディアでの露出も限られたものとなっていました。2011年に製作を引退後も、現在に至るまでなお多くのギタリストを刺激し続けている稀有なブランドです。
[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス 2003年製作のクラシックモデルUsedの入荷です。スペイン屈指の天才製作家による至高のクラシックモデル。最高品質の材(裏板は完璧な柾目のハカランダ)、一切の無駄を排した剛健にしてエレガントな外観、その造作の確かさ、そしてアルカンヘルだけが達成しえた音、全てが極めてストイックに完成されながら、音楽の無尽の深さを汲み尽くすような1本となっています。
表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は6本が、センターに配置された1本を境として低音側に2本、高音側に3本配置され、ボトム部でそれらの先端を受け止めるようにハの字型のクロージングバーを設置、駒板位置にはほぼ横幅いっぱいに補強プレートが貼られている、アルカンヘルのクラッシックモデルの定式の配置となっています(これらのバーや力木はそれぞれ通常のギターよりも太く高く、強固に作られています)。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。
アルカンヘルの音色は表情の変化としてはむしろ抑えめの渋い音ですが、その微細な変化の中に実に多様なニュアンスを湧出するもので、その深い説得力は比類がありません。そしてこの音圧、弦から木へと伝わる振動が完全に音へと純化してゆくような濃密極まりない音で、非常な迫力で鳴ります。すべての音が(単音においても和音においても)明確なアイデンティティを持ち、発音の瞬間から終止までの密度の高さも素晴らしい。pppからfffまでのその自然でダイナミックな振幅はそれこそオーケストラ(有名な「小さなオーケストラ」の例えのポリフォニー楽器として特性とはまた別の意味で)における独奏からトゥッティまでの音の拡がりさえも想起させるもので、この点においてもモダンギター的音圧とは異なる音響性質が達成されています。
表面板全体(特にサウンドホールまわりや指板脇など)に弾き傷やスクラッチ、大小の打痕があります。横裏板は比較的綺麗な状態ですが衣服の摩擦や演奏時に腕が当たる部分などは塗装の若干のムラがあります。ネック裏の高音側は傷のタッチアップが施され部分的に色味が変わっていますが演奏時における問題はありません。割れ等の大きな修理履歴はありません。ネックは完全に真っ直ぐを維持しており、フレットは1~8フレットで摩耗見られますが現状で演奏性や音に影響はなく継続してご使用いただけます。ネック形状は普通の厚みのDシェイプでややスクエアな加工。糸巻きはライシェル製を装着しておりこちらも現状で機能に問題ありません。
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