新着 ホセ・ロペス・ベジード
ホセ・ロペス・ベジード 1986年製 No.F 木ペグ仕様が入荷しました。
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※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:木ペグ
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.0mm
[製作家情報]
ホセ・ロペス・ベジード Jose Lopez Bellido 1943年 スペイン、グラナダ生まれ。兄は現在同地の重鎮的存在となっている製作家マヌエル・ベジード(1939~)。10歳から家具職人として働き始め、14歳の頃には兄マヌエルも働いていた、当時グラナダの指導者的存在だったエドゥアルド・フェレールの工房に徒弟として入り、カスタネットやバンドゥーリアなどを製作しています。このためフェレールにギター製作を師事したとされていますが、本人曰くギター作りにおける本当の意味での師は兄マヌエルだとのこと。兵役後に当時共同製作をしていたマヌエルともう一人の重鎮であり現代屈指の名工アントニオ・マリン・モンテロ(1933~)の工房に入り数年働いたあと、1967年に独立(この最初の工房はフェレールが配慮したもの。またホセはフェレールの娘と結婚しています)。最初の3年間は他の工房の下請けで製作する日々でしたが、彼のたぐいまれな木工技術と完成度の高いギターは少しづつ耳目を集めるようになり顧客を増やしてゆきます。
ギター製作におけるその実直で熱心な学習態度は彼を知るすべての人が語るところで、ギタリスト一人一人の意見をノートに取り、自分のギターに修理の必要が生じたときは徹底的にその原因を追及する姿勢をずっと維持して自らの製作に活かしています。兄マヌエルの柔軟で時に革新的とさえいえるアプローチに最大限の敬意を払いながら、自身はあくまでも伝統的なスタイルを標榜。そのギターは極めて円満に、洗練と落ち着きをもってグラナダ的なものを音響面と演奏性、そして造作において体現しており、2012年に現役を退いた現在も国内外で人気のアイテムとなっています。彼の弟子にはアントニオ・ラジャ・パルド、ベルンド・マルティン、そして息子のエドゥアルド・デュラン・フェレールらがいます。
[楽器情報]
ホセ・ロペス・ベジード製作、1986年製 Used フラメンコモデル No.F 木ペグ仕様の入荷です。この製作家らしい、機能性と音、そして造作における彼ならではの最適解が提示されたような愛すべきフラメンコギターとなっており、十分に弾き込まれて外観こそ経年の使用感があるものの、そのポテンシャルは現在でも高いものを有しています。
表面板力木配置はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、左右対称5本の扇状力木にボトム部でそれらを受け止める2本のハの字型に配されたクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ大きさのプレートが貼られているという全体の構造。レゾナンスはF#~Gに設定されています。
絶妙な反発感をともなった発音で、これがフラメンコとしての自然なうねりを生み出しており、その瞬発力と迫力も申し分ない。全体のバランス(低音の低音たる存在感、高音のシャープネス)もちょうどよく、一つ一つの音はきりっとした音像を保ちながらわずかにまろやかな質感を纏わせたもので、耳に優しく響きます。その優しい表情と激しさとの振幅さえも自然で、これぞ良質なグラナダサウンドと感じさせてくれます。
フラメンコとして十分に弾き込まれてきているため全体に弾きキズ、打痕、摩擦あと等多くあります。割れ等の修理履歴はありません。ネックはほんのわずかに順反りですが演奏性に問題のないレベル、またフレットは適正値を維持しています。ネック形状は普通の厚みのDシェイプで角のあるスクエアな加工。ホセ・ロペスは音響的な観点から特に木ペグの使用にこだわりましたが、本作も木ペグ(フリクションタイプ)仕様となっており、こちらも状態、機能性共に良好です。全体は薄く繊細なセラック塗装仕上げ。648㎜スケール、弾きやすく、豊かな表現力を備えた秀逸なフラメンコです。
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