新着 フランシスコ(パコ)・サンチャゴ・マリン 1975年製

フランシスコ(パコ)・サンチャゴ・マリン 1975年製 が入荷しました。

[詳細は画像をクリックしてご覧ください。]
※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。

ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8 mm /6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
Francisco(Paco)Santiago Marin 1946年スぺイン、グラナダ生まれ。家具職人であった父親のFrancisco Santiago Olivaのもとで12歳から修業を始め、並行して1963年からは叔父のアントニオ・マリンの工房でギター製作技術を学びます。父親のもとでは家具職人としての仕事にのみ従事していましたが、これを機にギター職人として身を立てることを決意し,10年もの歳月を修行と研究に費やし1973年に独立、同地グラナダに工房を構え、現在は息子のルイス・サンチャゴ・エルナンデス(1969~)と一緒に製作しています。外観的、音響的にもアントニオ・マリンの影響を色濃く受けていますが、自身がもっとも規範とするところはアントニオ・デ・トーレスのギターであり、グラナダ伝統のギターであるとのこと。生々しい木質のヴィヴィッドな響きと豊かな音量はいかにもグラナダスクール的ですが、色彩を抑えた音色は渋く、どこか翳を含んだ表情はヨーロッパ的とも言え、これがこのブランドの特徴ともなっています。

1985年グラナダ、1993年のハエン、1995年のバルセロナの3つの国際ギター製作コンクールで第1位となっており、国際的な評価も非常に高い。多くのギタリストにも愛用されており、レオ・ブローウェル、デビッド・ラッセル、マリア・エステル・グスマン、コンラート・ラゴスニックらのベテランに加え、リカルド・ガレン、ホセ・アントニオ・エスコバール等の表現力豊かな俊秀たちが彼の楽器を使用しているのは注目に値します。

〔楽器情報〕
パコ・サンチャゴ・マリン(ラベルにはFranciscoのイニシャルFを印字しF.Snatiago Marinとなっています)製作のクラシックモデル 1975年製 No.69 Usedの入荷です。自身の工房を立ち上げて間もない時期の一本で、直前まで師事していた叔父アントニオ・マリンの影響も如実に感じさせつつ、彼らしいストイックな響きの感触もすでに表れており、なによりも楽器としての強いアイデンティティは29歳の新進の作とは思えないほど。パコ・マリンの明確な作家性とその技術的完成にはやはり瞠目すべきものがあります。グラナダらしい、ボディの奥底から鳴ってくるようなダイナミックな発音とプロジェクションがまずは印象的、しかし一つ一つの音像はとても硬質で雑味がなく実に凛々しい。その甘さを排した音色の微妙な変化の中に実に多彩なニュアンスを含んでいるところがいかにもこの製作家らしい。そして和音やfffでの迫力、終止におけるきりっとした音の身振り、サスティーンにおけるその余韻の雄弁さなど旋律を形作るうえでの細かな機能的表現力という点でも特筆すべきものがあります。後年の彼の洗練された豪壮さと比較するとさすがに荒さはあるものの、スペイン南部的なキャラクターと彼独自の音響嗜好とが合わさった、非常に魅力的な一本となっています。

表面板内部構造はハーモニックバーがサウンドホール上側(ネック側)に一本、下側(ブリッジ側)に1本さらにこれと斜めに交差するもう一本が設置され扇状力木は7本、ボトム部でそれらの先端を受け止めるように2本のハの字型のクロージングバー、サウンドホール横(高音側)にはハーモニックバーの間を繋ぐように1本の短い力木がちょうど横板のカーブに沿うように斜めに設置されています。このサウンドホール下で2本のハーモニックバー(水平と斜め)が交差する力木構造はホセ・ラミレスを想起させますが(弦長が662mmである点なども)、彼の師であるアントニオ・マリンがやはりその初期のギターで採用していたシステムでもあります。ラミレスとの比較で言えばここでのパコ・マリンは扇状力木は7本(ラミレスは6本)で一番高音側の2本は上記の傾斜ハーモニックバーの上下で分断して設置されています(ラミレスは斜めに区切られた内側のみに設置)。レゾナンスはAの少し上に設定されています。

全体はセラック塗装仕上げ。割れ等の大きな修理履歴はありません。製作から約50年となる楽器としてはきれいな状態で、演奏時に自然についた細かな傷のみとなっています。ネックは真っ直ぐを維持し、フレットは交換されており適正な状態です。ネック形状は薄めのDシェイプ。弦高は現在値で2.8mm(1弦)/3.8mm(6弦)、サドルの調整余地が1~2㎜ありますのでさらに低く調整することも可能です。糸巻はオリジナル仕様のフステロ製を装着しておりこちらも現状で機能性に問題はありません。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です