ジョセフ・スタインマン 1977年製

ジョセフ・スタインマン 1977年製 

ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:ヘフナー
弦 高:1弦 3.2mm /6弦 4.1mm

〔製作家情報〕
イギリスのブランド、ジョセフ・スタインマン 。実際に製作しているのは同国の製作家ポール・フィッシャー(1941~)になります。もともと彼の師匠であり共同製作者であったデビッド・ホセ・ルビオ(1934~2000)が、自身のギターが高額で購入できない愛好家たちのために、比較的安価なコンサートモデルとして製作したシリーズ。ラベルの「Joseph Steinman」は実際に製作した人間の名前ではなく、ヴァイオリン職人だったルビオの祖父の名前をブランド名として冠したものですが、当時からフィッシャーが製作を担当していたようです(ちなみにルビオの本名はDavid Joseph Spink)。1975年にフィッシャーが独立した際にはルビオはこのブランドの商標登録をフィッシャーに移譲し、それ以後は彼のワークショップブランドとして出荷されることになります。限定的な本数のみ製作され、そのほとんどが当時ルビオ工房のギター需要が高かった日本に輸出されたそうです。一旦製作を停止した後、2005年に同じラベルでこれも限定的に復活しています。

1970年代のものは内部構造やロゼッタなどのデザインでホセ・ルビオギターに多く準拠しており、雰囲気と音質の両方でルビオを思わせる特徴を備えたものとなっています。比較的安価な工房品とはいえ、イギリスを代表する名工の作だけあってクオリティは申し分なく、ルビオ~フィッシャーの音響を円満に備えたモデルとして現在でもマニアックなファンの間で人気のブランドとなっています。

〔楽器情報〕
ジョセフ・スタインマン 1977年製 Used の入荷です。
ルビオ工房から独立して間もないころのポール・フィッシャーによるギターで、ボディ内部には「P.F.」のスタンプと同じくイニシャルをプリントしたラベルが貼られています。ボディシェイプやロゼッタデザインなどはルビオギターを思わせるもので、本家ほどの重厚な迫力はないものの味わい深い外観。

表面板の力木構造はサウンドホールの上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本の低音側から高音側に向かって少し下がってゆくように斜めに設置されたハーモニックバー、7本の左右対称の扇状力木とそれらの先端をボトム部分で受け止めるように2本のクロージングバーがV字型に配置されています。7本の扇状力木のうち高音側の2本のみ駒板に近い部分で直角に交差する短いバーが設置され、2本がそれを貫通するシステムになっています。これはルビオ初期のギターに見られた特徴的な力木構造。レゾナンスはGの少し下に設定されています。

低音から高音までバランスよく整った音圧と音像で、スペインギターの深い奥行きのある響きとはやや異なり、瞬間的に音が「現れる」ような凛とした発音の感触。やや硬質な音ですが、響きはどこかウッディで素朴な触感もあり、とても上品です。そして豊かな鳴りも十全に備えています。

クラシックモデルですが過去のオーナーによりゴルペ板(付け足した部分あり)が装着されています。割れなどの大きな修理履歴はありません。全体に微細な摩擦跡あとや小さな打痕、弾き傷など見られますが年代相応な状態と言えます。ネック、フレットは良好な状態を維持しており、ネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。糸巻はヘフナー製を装着しておりこちらも機能性に問題はありません。

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