新着 ペペ・ロメロ・ジュニア

ペペ・ロメロ・ジュニア 2007年製 が入荷しました。

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※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。

ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.9mm /6弦 3.9mm

[製作家情報]
ペペ・ロメロ Jr 1978年生まれ。現在はアメリカ、カリフォルニア州に工房を構える製作家。父はギタリストのペペ・ロメロ。この稀代の名手(が演奏する音楽)と、彼の所有する数々のギターの名品という恵まれた環境に幼少の頃より過ごし、その感性を磨いていったことは想像に難くはありません。しかし演奏家として身を立てることには興味がなく、木工に(ギター製作とは関係のない)魅せられてゆきます。その才に気づいた祖父のセレドニオ・ロメロが彼にギター製作をすすめ、18歳の時に製作家のデイク・トラファーゲンの指導を受けて最初の1本を完成させると、これを機にギター製作を生業とすることを決意。その後スペインに渡り父の愛器として名高いミゲル・ロドリゲスの息子、またマヌエル・コントレラス2世やホセ・ルイス・ロマニリョスなどの名工達にも指導を受け、帰国後に本格的に製作を開始。2000年代に入ってさらにドイツでエドムンド・ブロヒンガーにも教えを受けるなどし、研鑽を積んでゆきます。

トーレスからマヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデスといった歴史的名器を愛する彼ですが、製作上最も影響を受けたのはミゲル・ロドリゲスのギターとのこと。現在は特にロドリゲスが1970年代にわずか数本製作したと言われる逆扇状力木(通常扇状力木はサウンドホールを中心として放射状に広がってゆくが、これはフットブロックを起点としてサウンドホールに向かって広がってゆくような配置)を応用して製作している。しかし彼のごく初期の作(No.17)からNo.170までのギターも通常の扇状力木配置ながら、やはりロドリゲスのパターンを踏襲しています。

父親が彼のギターを使用することによりその知名度は一気に上がってゆきますが、なによりスペインの伝統とアメリカ的な工学的精緻さによる仕上げによる彼のギターは非常な魅力を有しており、確実にユーザー層を拡げてきています。2010年以降はウクレレ製作も始めると同時に、自身の監修のもと普及モデルのブランド戦略も展開しています。

彼のギターにはすべてラベルに「Dedicada a Celedonio Romero」と記されており、彼をギター製作へと導いてくれた亡き祖父セレドニオに捧げられています。

[楽器情報]
ペペ・ロメロ Jr. 製作 No.116 2007年製Used の入荷です。横裏板に良質なフレイムメイプルを使用したモデル。内部構造は現在の仕様とは異なりオーソドックスな扇状力木配置(サウンドホールを起点として放射状に拡がるように配置されている)で、やはりミゲル・ロドリゲスのパターンを踏襲したもの。サウンドホール上側に1本のハーモニックバー、下側も1本のハーモニックバー、そしてこのバーにちょうどセンターで交差するもう一本のいわゆるトレブルバー(低音側上部のふくらみから高音側下部のふくらみに向かって斜めに下がってゆくように)が設置されており、扇状力木は左右対称5本、ボトム部には2本のハの字型に配されたクロージングバー、ブリッジ位置には補強プレートが貼られており、またサウンドホール両脇にもちょうど扇状力木の延長線をなぞるようにして各一枚の補強プレートがネック付け根まで貼られているという全体の配置。レゾナンスはGの下に設定されています。

薄めに加工された板と、これも薄く繊細なセラック塗装での仕上げ、さらには力木も低くフラットな造りなどもあり全体の重量も軽いのですが、同様の楽器でありがちな木が生々しく振動し音が放射してゆくように発音する感触ではなく、非常に洗練され引き締まった音像が起ち上がってきます。それはメイプル特有の古雅で渋めな佇まいながら、表情には十分にロマンティックなニュアンスがあり、奏者のタッチの工夫によりあらゆる楽曲に適応できるポテンシャルを有しています。加えてこの個体で特筆すべきはその素早い発音のレスポンスで、ドライブ感が自然に生まれる感覚は実に心地よい。このあたりの表現力と機能性の両立とその着地の見極めは、やはり彼の特異な出自に関係しているのでしょうか。とても魅力的な1本に仕上がっています。

十分に弾き込まれてきているため、表面を中心に全体に弾きキズ、摩擦あと等が多く目立ちます。割れ等の大きな修理歴はありません。ネックはわずかに順反りですが演奏性には問題のないレベル、フレットも適正値を維持しています。ネック形状は普通の厚みのDシェイプに加工されています。弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)、サドルには1~2mmの調整余地がありますので、お好みに応じてさらに低く設定が可能です。糸巻はスペイン製のフステーロを装着、こちらも現状で機能に問題ありません。

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