新着 中出 敏彦 1998年製 MASTER 30

中出 敏彦 1998年製 MASTER 30が入荷しました。

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ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:カシュー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.2mm /6弦 4.5mm

〔製作家情報〕
1932年東京生まれ。ジャパンヴィンテージの筆頭格として河野賢と共に名の挙がる中出阪蔵(1906~1993)の次男。父の教えのもと16歳よりヴァイオリンとギターの製作を開始し、5年後にはギター製作に専心するようになります。1960年には自身の独立した工房を開設し、オリジナルラベルでの製作を開始。その後1968年にはスペインに渡り、マドリッドの製作家エルナンデス・イ・アグアドの工房に入門。この名工からの影響が決定的となり、自身のその後の製作哲学を明確に方向づけられることとなります。外観的な意匠や楽器構造、音色的な特徴においてその影響は如実に表れており、そこに氏独自の個性を注ぎ込んだ楽器はその勇壮な鳴りと豊かな表情とで人気を博します。

80歳を越えた後も製作は衰えず、中級者用のすぐれたミドルクラスから、国内製作家としては最高値となる250万を越えるハイスペックモデルまで、一貫して細かな部分まで手の行き届いた高品質を維持して出荷を続けてきた、そのブランドとしての気位の高さはやはり敬服に値するものでしょう。邦人製作家の最長老として、近年は限定的ながらも製作を続けていましたが、豊富なストックを誇っていた木材を全て使い終わったところで製作を引退。スペイン的なニュアンスを感じさせる国内ブランドの代表格としての地位を揺るぎないもにしてきた氏のギターは、近年は父阪蔵氏と並び、海外でも人気の高まっているアイテムとなっています。同じギター製作家(現在は引退)の中出輝明氏は兄、中出幸雄氏は弟、また中出六太郎氏は叔父になります。

〔楽器情報〕
中出敏彦製作 Master 30 1998年製Usedの入荷です。氏が製作する他のモデルと同様にこれもまた師であるエルナンデス・イ・アグアドを基にして、彼なりにスペイン的な響きを再解釈し、そして日本というマーケットにおいて円満に受容されうるクオリティバランスのうちに着地させているすぐれた1本となっています。ボディサイズはやや大きめながら重量は1.5㎏とやや軽め、そのボディが震えるように響く木質の生々しい音響で、その音圧の高さと迫力、押し出しの堂々たる風格はいかにもこのベテラン製作家ならでは。表現力も不足なく、加えてストレスのない発音も心地よく奏者は気持ちよく弾ける感覚があります。この価格帯のギターとしては出色のモデルと言えるでしょう。

表面板力木配置はサウンドホール上下に各1本のハーモニックバー、そのうち下側のほうのバーの中央部分を起点として高音側横板に向かって斜めに伸びてゆくもう一本のバー(トレブルバー)、6本の扇状力木がセンターに配された1本を境として高音側に2本、低音側に3本設置されており、それらの先端をボトム部で受けとめる2本のハの字型クロージングバー、またちょうど駒板の位置には同じ横幅でパッチ板が貼られているという構造で、これは師であるアグアドのギターを踏襲した配置と言えます。レゾナンスはG~G#に設定されています。

表面板全体に大小のスクラッチ傷や打痕がありますが年代相応と言えるレベルです。ブリッジ高音側に15cmほどの長い搔き傷があります。横裏板は綺麗な状態を維持しています。割れなどの大きな修理履歴はなく、ネック、フレット、糸巻など演奏性にかかかわる部分も問題ありません。サドルには1.5~2.0mmの余剰がありますので弦高を現在値よりもさらに低く設定することが可能です。

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