アルベルト・ネジメ・オーノ 2000年製

ロドリーゴコンクール出品モデルが入荷しました。

[詳細は画像をクリックしてご覧ください。]
※ただし販売済の楽器は該当ページが表示されませんのでご了承ください。

ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 3.4mm

〔製作家情報〕
1952年生まれ。1979年にスペインに留学し、グラナダの名工アントニオ・マリンにギター製作を師事。2年に及ぶその期間中彼はほとんど家族の一員のようにして製作を共にし、単に技法の習得だけではなくその土地の文化風土や人間性をも吸収しながらスペインの伝統工法を学んでいます。帰国後に発表した彼の楽器は、感性的な領域にまで深くスペインのニュアンスを染み込ませた逸品として、国内では初めての本格的なスパニッシュギターと評価されるようになります。1988年にはチェコスロバキア・クツナホラ国際ギター製作コンクールにてグランプリを受賞し、国際的にもその実力は高く評価されるようになります。他の追従を許さぬ美しく気品のある外観の仕上がりと、重厚かつ濃密で艶やかな音色と十分な遠達性を備えた作風は近年益々円熟味を加え、師のアントニオ・マリン同様にマニア垂涎の楽器として、現在その評価は不動のものとなっています。また製作と同時に後進の指導や執筆活動にも尽力し、 第一回アマチュアギター製作コンテスト審査員、スペインにて第7回コリアギター講習会参加、ギター製作家in八郷審査員をつとめるなどのほか、雑誌<現代ギター>に「君もギタービルダー」を連載、愛好家からの大きな反響を得て「スペイン式クラシックギター製作法」として書籍化されています。2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。

オルフェオマガジン「日本の製作家」特集掲載号 オンラインショップ商品ページはこちら

オルフェオ取材同行記 禰寝孝次郎編はこちら

〔楽器情報〕
アルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝孝次郎)製作の2000年製 ロドリーゴコンクール出品モデル Used、文字通り1本のみ製作された貴重なモデルの入荷です。ホアキン・ロドリーゴ生誕100年を記念してスペイン、アランフェスで2000年に開催された国際製作コンクールに出品されたもの。厳選された良材を使用しており、表面板の松、横裏板の中南米産ローズウッドともにルックスも素晴らしく、加えてそのローズウッドの濃いブラウンに映えるフレイムメイプルのパーフリング/バインディングがなんとも洒脱なアクセントとなっていて、いつもながら細部の意匠のセンスが全体の気品に寄与しており、凛とした外観。

内部構造はサウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバー、左右対称の7本の扇状力木と駒板と同じ位置に貼られたプレートという配置で、ボトム部のハの字型のクロージングバーはなく、禰寝氏のサントス・エルナンデスモデルを想起させる構造。しかしネックのいわゆる「脚」はサウンドホール縁まで到達しており、ホール上側のハーモニックバーを覆う形で設置されているところは特徴的。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

余計なもののない、見事なバランスのもとに構築された音響設定。響きの力強さはこのブランドならではですが、ここでは単音に柔らかな触感を纏わせて、どこか翳を含んだようなクラシカルな表情が魅力的。曲によっては(特にバロックの楽曲においては)チャーミングとさえ言える表情を聴かせてくれます。発音は奏者のタッチに吸い付いてくるような感触で、程よい粘りを持ち、音の終止においてもしっかりと止まる感覚が心地よい。こうした発音特性と充実した音像は、演奏において、メロディがしっかりとした実存性を帯びてくるような感覚があり、禰寝氏ならではの達意の仕事を見ることができます。

ネックは角の取れた薄めのDシェイプタイプで左手のフィット感が良く、弦の張りも中庸なので全体に弾き心地良く感じます。割れなどの大きな修理履歴はありませんが、表面板全体に浅く細かな弾き傷やスクラッチ痕があり、また横裏板は衣服等による若干の摩擦あとがあります。表面板は一度セラックによる上塗り補修がされています。ネックはほんの少し順反りですが問題のないレベルです。フレットは1~3Fでわずかに摩耗ありますが演奏性には問題ありません。糸巻きはロジャース製でこちらも動作機能上の問題はありません。ブリッジ弦穴はダブルホールシステムを採用。ラベルもまた記念モデルとしてロドリーゴのイメージとキャプションを記したもの。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です